やはたクロニクル
[Yahata Chronicle]
 
1945年8月10日に八幡にまかれたビラ
※資料中、 「三国共同宣言の13か条」とはポツダム宣言のこと。
日本国民に告ぐ !!
“即刻都市より待避せよ”

このビラに書いてあることは最も大切なことでありますから、よく注意して読んでください。
日本国民諸君は今や、重大なるときに直面してしまったのである。
軍部首脳部の連中が、三国共同宣言の13か条よりなる寛大なる条項をもって、この無益な戦争を止めるべく機会を与えられたのであるが、軍部はこれを無視した。
そのためにソ連は日本に対して宣戦を布告したのである。
また米国は今や、何人もなし得なかった恐ろしい原子爆弾を発明し、これを使用するに至った。この原子爆弾は、ただ1個だけであの巨大なB-29、2000機が1回に投下する爆弾に匹敵(ひってき)する。

この恐るべき事実は諸君が広島にただ1個だけ投下された際、いかなる状態を惹起(じゃっき)したかはそれを見ればわかるはずである。
この無益な戦争を長引かせている軍事上のすべてを、この恐るべき原子爆弾をもって破壊する。 米国はこの原子爆弾が多く使用されないうち、諸君がこの戦争を止めるよう天皇陛下に請願されることを望むものである。米国大統領は裏に諸君に対して述べた13か条よりなる寛大なる条項を速やかに承諾し、よりよい平和を愛好する新日本の建設をなすよう米国は慫慂(しょうよう)するものである。
しからざれば米国は断固、この原子爆弾ならびに、その他あらゆる優秀なる武器を使用し、この戦争を迅速かつ強制的に終結せしむるであろう。

“即刻都市より待避せよ”
※旧字を改め、句読点をつけて読みやすくしています。