【note:01】 マンガの森で迷ったら…

ネットにあふれる「おすすめマンガ」の情報から
いったい何を選べばいいのか。似たりよったりの"マンガ語り"に
いちいちつきあう時間も、気力もないし。

アニメと同じく「この人がすすめるなら…」と思える
"目利き"のファンや解説者を探すのが一番ですが
ランキング情報を参考にするという手もあります。

BookLive!が企画した「史上最高のマンガ100」という
アンケート調査 (投票総数1万3000票)では、
以下のような作品が上位にランキングされていました。

順位
タイトル
作者
1位
ONE PIECE
尾田栄一郎
2位
DRAGON BALL
鳥山明
3位
ドラえもん
藤子・F・不二雄
4位
鋼の錬金術師
荒川弘
5位
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ
荒木飛呂彦
6位
名探偵コナン
青山剛昌
7位
ブラック・ジャック
手塚治虫
8位
宇宙兄弟
小山宙哉
9位
キングダム
原泰久
10位
ベルサイユのばら
池田理代子
11位
寄生獣
岩明均
12位
HUNTER×HUNTER
冨樫義博
13位
のだめカンタービレ
二ノ宮知子
14位
夏目友人帳
緑川ゆき
15位
火の鳥
手塚治虫
16位
進撃の巨人
諫山創
17位
3月のライオン
羽海野チカ
18位
君に届け
椎名軽穂
19位
NARUTO -ナルト-
岸本斉史
20位
うしおととら
藤田和日郎
21位
キャプテン翼
高橋陽一
22位
花より男子
神尾葉子
23位
カードキャプターさくら
CLAMP
24位
銀の匙 Silver Spoon
荒川弘
25位
こちら葛飾区亀有公園前派出所
秋本治
26位
るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
和月伸宏
27位
ちはやふる
末次由紀
28位
シティーハンター
北条司
29位
赤ちゃんと僕
羅川真里茂
30位
うる星やつら
高橋留美子

ま、ランキングなんて「ふーん」と思うだけで、
そのままになってしまうことも多いですけど。

BookLive!では「史上最高のマンガ100」作品についての
読者のおすすめコメント」と、ブラウザでの試し読みができます。

そのほかにも「スポーツマンガ」「ギャグマンガ」「恋愛マンガ」
「異世界マンガ」など、ジャンルごとのランキングもあります。

BookLive!「史上最高のマンガ100」
https://booklive.jp/feature/index/id/manga100
このほか、漫画ランキングの情報では、宝島社が毎年発行している
マンガ紹介ムック「このマンガがすごい!」のweb版で
2006年以降の年度版・歴代ランキングが掲載されています。
このマンガがすごい!
http://konomanga.jp/
有名な漫画賞を受賞した作品を選ぶのも、
面白い作品や名作に出会う確率は高いと思います。

「漫画賞」には、大手出版社が主催するものから
評論家や作家が審査して選ぶもの、書店員による投票や
ネットを使った読者参加型の賞などいろいろあります。

ウィキペディアで「日本の漫画賞」を検索すると
以下のような賞がありました。(新人向けは除く)
(創立年:主催者)

文藝春秋漫画賞(1955 - 2002:文藝春秋)
小学館漫画賞(1955 -:小学館)
日本漫画家協会賞(1975-:日本漫画家協会)
講談社漫画賞(1977-:講談社)
星雲賞コミック部門(1978年-:日本SF大会)
文化庁メディア芸術祭マンガ部門(1997年-:文化庁)
手塚治虫文化賞(1997年-:朝日新聞社)
全国書店員が選んだおすすめコミック (2006 -:日本出版販売)
マンガ大賞 (2008 -:マンガ大賞実行委員会主催)
次にくるマンガ大賞 (2014 -:niconicoとダ・ヴィンチ)
みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞(2017-:TSUTAYA)
電子コミック大賞 (2018 -:コミックシーモア)

やっぱ、販売促進用に創設された賞が多いですね。
それでも一応の目安にはなります。
参考までに、2つだけリンクをはっておきます。

手塚治虫文化賞
https://www.asahi.com/corporate/award/tezuka/
マンガ大賞
https://www.mangataisho.com/archives/index.html
ネットの記事で気になったとか、友だちに借りたとか
作品との偶然の出会いを大切にするのもいいですが、
「ブックガイド」の類を活用するという手もあります。

たとえば、作家の位置づけや系譜はどうなっているのか。

南信長さんが著した『現代マンガの冒険者たち
大友克洋からオノナツメまで』
(NTT出版2008年)は、
<ビジュアルの変革者>、<Jコミック>、<ギャグマンガ>、
<ストーリーテラー>、<少女マンガ>などのジャンルごとに
漫画家の系譜を可視化(チャート化)して、
現代マンガの流れを俯瞰できるようにした労作です。

まえがきには「拡大し続けるマンガ世界を歩くための
良きナビゲーションとなることをめざしている
」とあり、
巻末の「作家名索引」には、なんと557人の作家がズラリ。

たとえば<ビジュアルの変革者たち>の系譜はこんな感じです。

資料:〈ビジュアルの変革者たち〉系譜図
南信長『現代マンガの冒険者たち』p16‐17より(pdf)
60年代の手塚治虫から"花の24年組"の萩尾望都へ。
さらに70〜80年代 "ニューウェーブ"の高野文子へ。
一方、写真的でリアルな画風は、劇画ブームの流れから
大友克洋へ。そして吉田秋生江口寿史といった
オシャレでカッコイイ80年代のマンガへ。
作家の影響関係が一目でわかるチャートになっています。

漫画を読む時間はもちろんのこと、
作者について調べる時間も限られているので、
こういう目安になる資料があるととても助かります。