【恩田陸『チョコレートコスモス』の関連図書】
『ガラスの仮面』美内すずえ
( 花とゆめCOMICS)
マンガ『ガラスの仮面』で、いちばん有名なセリフといえば、
主人公・北島マヤの非凡な才能を評した
「おそろしい子!」
調べてみると、実際のシーンはこんな感じでした。
あの子「椿姫」の舞台をただ一度みただけなのよ
それなのに3時間半もの舞台のセリフを
一言一句みごとにまちがえずに 
俳優達のこまかな演技のポーズまで
丸暗記してしまっているのよ 
オーホホホホホ おそろしい子!
恩田陸の『チョコレートコスモス』の中では、飛鳥が高校生のときに
初めて『ハムレット』の芝居を見て、東響子が演じたオフィーリア役を
夜の空手道場で真似するシーンがありました。
飛鳥は、東響子そっくりだった。
身振りも手振りも、表情も。そして、
彼女のオフィーリアの台詞を全て覚えていた。
その記念すべき晩、飛鳥は、東響子の台詞を全て、
とうとう最後まで暗唱してしまった。
「飛鳥…おそろしい子!」というセリフは出て来ませんが、
その後、飛鳥の才能を目の当たりにする登場人物たちは、
想像を絶する演技力に、恐怖すら覚えることに。

では、『チョコレートコスモス』 の文章を使って
『ガラスの仮面』のワンシーンに当てはめて遊んでみます。
その視線が自分を捕えていることに気付いた瞬間、
飛鳥は覚醒した。落雷にでも遭ったみたいだ。
なんという強い視線。

「――あなたは、誰?」

響子は無意識のうちにそう尋ねていた。
目の前の娘に畏怖を覚えた。

(失礼しました。)