(No.003)
ものぐさ精神分析
岸田 秀(きしだ・しゅう)
中公文庫(1882)/単行本:青土社(1977)
【文庫の紹介文】
人間は本能のこわれた動物である――。人間存在の幻想性にするどく迫り、
性から歴史まで文化の諸相を縦横に論じる、注目の岸田心理学の精髄。
【textより】

人類は生物進化の畸型児である。
「国家論――史的唯幻論の試み」

人類の文化そのものが、そのすみずみまで
幻想に支えられているのである。
 
「恋愛論」
言語は、便利な道具として発明されたものではなく、
人類の病いであり、根源的な神経症的症状である。
「言語の起源」
人間の性は、正常異常を問わず、
本能にではなくすべて幻想に支えられている。

「性的唯幻論」
精神疾患とは、物のレベルではなく、
意味のレベルの障害なのである。
「擬人論の復権」
◆『ものぐさ精神分析』岸田 秀 (青土社1977年、中公文庫1982年)
雑誌『ユリイカ』に1年間連載された文章(1975年1月号〜12月号)を中心に、
23の評論・エッセイを所収。帯文はフランス文学者の澁澤龍彦(しぶさわ・たつひこ)。
1982年、4編の文章を追加して中公文庫として文庫化された。
【1977年、単行本刊行時の推薦文:渋澤龍彦】
ユダヤ人の脳味噌から生れた精神分析学なるものを自家薬篭中のものにして、快刀乱麻を断つごとく、この湿っぽい日本の現実や、私たちの卑小な自意識のドラマの構造を、白日のもとにあばき出してくれる。心理学の先生で、こんな面白い文章を書くひとはいない。
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◆『続 ものぐさ精神分析』岸田 秀
 (中公文庫1982年)
岸田秀の“ものぐさシリーズ”の続編『二番煎じ ものぐさ精神分析』(1978)と
『出がらし ものぐさ精神分析』(1980)に収録された作品から35編を所収。

【文庫の紹介文】
人間の精神の仕組みを「性的唯幻論」という独自の視点からとらえ、
具体的な生の諸相を鮮やかに論じる岸田心理学の実践的応用篇。待望の続篇。
【5つ星評価】
メンバー
感想・コメント
Green
★★★★
「それは幻想です」と指摘されて不安になったり、中には怒り出したりする人もいるだろうし、「やっぱりそうか!」と気持ちがラクになる人もいると思いますが。いろいろな葛藤を抱え込んで前に進めない人が、自己を見つめなおしたり、当事者研究をするときに参考になる本です。世界がひっくり返るような衝撃を受けたというレビューもあるようですが、そんな解釈もあるのか!と単純に面白がって読むというのも、ありです。

 

 
 
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