【Interview】2007年9月19日
大事なのは“根気”やないかねぇ。
で、その根気を持たせるには
どう育てるかが問題よね。(笑)
近藤 逸子 先生

◆子育ての経験が、教師としてプラスに

今は独身の先生も多いけど、やっぱり子供を育てる
という経験は、教師として必要なことだと思うのよ。
昔は、お産で休んだりして
女の先生は困るみたいな風潮もあったけどね、
私は決して教師としてマイナスではないと思ってたよ。

―――子育てを通じて、親もいろいろ学ぶとか…。

自分の子育ての経験から、生徒を教えるのに
参考になる部分もあれば、その逆にね、生徒を見てて
わが子を育てるのに参考になったことやらもあるよね。

―――なるほど。両方あるわけですね。

たとえば、学校であった出来事でもね、
ちょっと理解できないことが起こるとね、
自分の子供に「あんた、こう言われたらどう思う?」とか、
聞いたりしてたよ。

―――子供の意見を参考にするわけですね。

子供も中学生くらいになるとね、
「たぶんお母さんは、こういう答えを求めているんだろうけど、
生徒はこう答えるんやない?」とか、言いよったよ。

―――しっかりしてますねぇ。(笑)
今、子育てで悩んでいる親が多いと思うんですが、
たとえば、先生はどんな風に子育てをなさったんでしょうか?

私、昼間は学校があったから、子供を保育所に預けてたのよ。
でも、夜はお茶碗を洗うのをほっとっても、
子供たちと遊ぶのが好きやったね。
いろんな本をいっしょに見たりして。でも教師の癖かしら、
考えてみれば何でもすぐ子供に質問したり、教えたりしてたね。

文字は、教えたというより、子供が書けるようになりたがった、
読めるようになりたがったと思う、自然と。

―――子供の自発的な好奇心ですね。

と、思うね。小さいときから「さぁ、勉強しますよ」
というのじゃなくて、絵を描いたりね。
絵も、こちょこちょ描かせんで、うちは模造紙よ。

―――ここに思いっ切り描きなさいと?

うん。子供は落書きが好きやない?
で、壁に模造紙をはって描かせたりね(笑)。

あと、これはほとんど夫の方だけど、
1才の頃から寝るときにお話を聞かせよったね。
毎日なにかいろんな話を。

―――えーっ、ご主人がですか?


そう。毎日、子供を寝かしつけるときにね。
それこそ、長男と次男は好みが違ってたけどね。
小学校に上がる前に『徒然草』まで行ったよ。
長男はそれも黙って聞いとるんよ。

次男の方はそんな話より
自分がヒーローになる話が好きやったね。
私もよく作り話をしてやりよったよ。

―――それは子供は楽しみでしょうね。

子供の育つ過程を見てたら、
言葉は徐々に語彙が増えていくんじゃないね。
しゃべるようになったら、ばーっとしゃべるようになるね。

生徒を見てて、この子はあんなに努力しているのに
なかなか伸びないなぁと思いよったら、ポッと急に伸びる。
そういう傾向があるね。だから、貯めてる期間があるんやねぇ、
というのを体験的に生徒を見てても思ってたけどね。

―――そうですね、伸びる子は急に伸びますよね。

あと、1ヶ月に1回は本屋に連れて行きよった。
本もね、ドサッとまとめて買ってやってもダメ、読まんね。
子供はマンガやら買いたいから、私はマンガも買わせる。
けど、一冊はこっちが読ませたい本と、2冊買ってやる。
そんなんしてたよ。

―――あー、子供に読ませたい本も一緒に。

子供に本とか買ってやるのもちっとも惜しくなかった。
それこそ、ウチには本がいっぱいあるけどね。
今は孫に送ってやったりしよるよ。
「あんたのお父ちゃんが読んだ本よ」とかいうて(笑)。

◆毎日書いた「お帰りなさいノート」

幸いに、私が北中で職場が近かったから、
息子たちが小学校に登校してから、大学ノートに伝言を書いてね、
台所のテーブルに置いてたよ。
「お帰りなさいノート」って呼んでたけどね。
学校から帰って遊びにいく場合は、行き先を書いておきなさいって。

―――お互いの連絡のためにですか?


お互いというか、私が一方的に伝言を書くんやけどね。
たとえば「今日のあんたの朝の態度、あれは悪かったよ」とか、
「ここは反省せんとダメだと思うよ」とか書いてね(笑)。

おやつだって、そこを開けたら入っているんだけど
「今日のおやつは…」と書いてね。
"管理"という言葉は悪いけど、
やっぱり親が管理すべきと思うのよ。いい意味のね。
管理するというのは、子供から見たら
ちゃんと関心を持たれてるということだから。

―――なるほど。勉強の方はどうでした?

私が帰ってくるまでに宿題はしときなさいといって、
私が必ず点検しよったね。
中学生の頃になると、友達が遊びに来とっても、
夕方にはみんな塾に行くからパーッと帰っていくんよ。
で、うちの子だけ残るんよ。

「ぼくは塾に行かんでいいやろか?」と言うから、
「塾に行かんな勉強ができんのやったら、せんでいい!」って、
行かせんやったのよ(笑)。
「勉強は、学校でしてきなさい」って。

―――塾に行かずにすめば、それがなによりですもんね。

でも、私は全面的に塾に反対じゃないのよ。
ただ、やる気がないのに行かせてもダメよね。
一番いけないのはね、「中学校に入ったから、さぁ塾じゃぁ、
勉強せい」というのがね、あれがダメと私は思う。
大切なのは小学校やと思う。

―――小学校からの習慣づけでしょうね。

親の目が届く範囲のときに勉強を見てやる。
教科書を読ませる。宿題をする。テストは必ず訂正させる。
そういう基本的なことやと思うんだけどね。

◆大事なのは、継続する力、根気だと思う

―――できる子は、どこが違っていると思いますか?

勉強に限らず、どんなことであれ、
大事なのは継続する力、根気やないかね。
で、その根気を持たせるにはどう育てるかが問題よね(笑)。

―――そうなりますよね。


それはやっぱり、子供が小さいときから
親も根気よくならないといけんのやない?
「お前、やっとけ、やっとけ」では、ダメなんやないかね。

―――うるさがっているようじゃ、ダメなんでしょうね。


私も夫も、たいてい学校から仕事を持ち帰って、
家でプリントをつくったりなんかしよったからね。
その姿を子供も見てるわねぇ。

―――テレビ観て笑っている親とは違いますね(笑)

私は決して勉強、勉強と子供には言ってないけど、
後になって、基礎的なことは幼児期にやったかなという気はする。
そのときは思わんやったけどね。
接する時間が少ないだけに精一杯したかな。

ただ、私が一人で育てたんやなくて夫やね、やっぱり。
とくに勉強の方は、夫が子供たちを引っ張ったかな。

―――きっと、上手に興味をもたせたんでしょうね。

やっぱりね、勉強に関心を持つというのは、
わからんと関心をもてんやろ?

―――そうですよね。うまく好奇心が働かないと。

だから、そういう好奇心というのはね、
けっこう旅行も連れて行きよったね。
それこそ次男坊が小さい頃にね、
「友達のお母さんたちは、家におるみたいよ。
お母さんも家におったら?
そしたら、夜洗濯したり、肩凝ったりせんよ」と、いうて。

―――優しいですねぇ。

そう言いよったら、長男が横からね
「そしたらの、お前、旅行やら行けんくなるぞ」って。
小学校にもなると、経済的なことを考えよるのよね。
そんなこといいよったよ(笑)。


(了)