やはたクロニクル
[Yahata Chronicle]
敵機に届かない「子供の玉入れ」のような攻撃
戦前戦後まで、旧八幡枝光長尾町5丁目に住んでおりました。
今の八幡大学※周辺の高台にあって、南は帆柱山、
西は製鉄所・洞海湾・若松、北は戸畑・関門の上空を
一望に見渡せるところです。

始めに来襲する敵機はほとんどがB29爆撃機で、
昼夜を問わず北九州5市を無差別爆撃し、
関門海峡には機雷を落として、悠々と去って行った。
その高度は1万メートル以上といわれていました。

夜間、関門に機雷投下に来襲するB29を照空灯ではっきり捕え、
わが高射砲陣地よりいっせいに攻撃開始しましても、
ちょうど子供の玉入れみたいで火の玉が途中で消えてなくなり、
敵機には弾が届かなかった。この様子をたびたび家の前から見ていて、
これでは敵機を撃墜することは不可能と思っていた。

それから後、八幡大学※のところに
日本に3本しかないという高射砲を据えつけ、
たびたび来襲する敵機に損害を与えるようになりました。

※八幡大学:現在の九州国際大学
(手記9 ―八幡市枝光にて目撃― 有村義則)より抜粋